始めとして草木や鳥獣、魚などを〔次々と〕地上に創造された。神はご自身の姿に似た形に男を創り、そして彼の脇腹の骨を切り取って女を創られた。神は宇宙のすべてを創造した後で休まれた。その日を私たちは日曜日または安息日と呼ばねばならない。( (次に私はイエス・キリストが聖霊のみ子であること、その方は全世界の罪のために十字架につけられたこと、それゆえ私たちはその方を私たちの救い主と呼ばなくてはならないことを理解した。そこで私はその本を置き、あたりを見まわしてからこう言った。 誰が私を創ったのか。両親か。いや、神だ。私の机を作ったのは誰か。大工か。いや、神は地上に木を育てられた。神は大工に私の机を作らせられたが、その机は現実にどこかの木からできたものだ。そうであるなら私は神に感謝し、神を信じ、神に対して正直にならなくてはならない」と。( この時から私の心は英語の聖書を読みたいという思いに満たされたので、箱館に行って、イギリス人かアメリカ人の聖書の教師を見つけようと決意した。そこで藩主と両親に対して箱館に行かせてほしいとお願いした。しかし、彼らは許してくれず、私の願いに大変驚いた。彼らは私をこんこんと諭したが、私の固い決意は変わらなかった。私は自分の願いを持ち続け、神に向かって、 どうかお願いですから志を達成させてください」とひたすら祈っていた。( (それから私はある日本人の教師から英語を習い始めた。ある日、江戸の街中を歩いていると、私の知人で私を可愛がってくれていた洋式帆船〔快風丸〕の船長〔船員の加納格太郎〕に突然出くわした。 船はいつ出るのですか」と聞くと、 3日以内に箱館に向けて出帆する」とのことだった。 連れて行ってもらえますか。お願いですから行かせてください」と言ったところ、 連れて行ってもいいが、君のお殿さまとご両親がお許しにならないだろう。まずそちらに頼むことだ」と彼は答えた。( (2日後、私はいくらかの金と少しばかりの衣服、それにわずかな書物とをたずさえて家を出た。もしこの金がなくなったらどうやって衣食をまかなうのかを考えることもなく、ひたすらこの身を神のみ手にゆだねた。( (翌朝私は箱館行きの洋式帆船に乗りこんだ。箱館に到着して適当な英語の教師を探したが、八方手をつくしても見つけられなかった。そこで私の心は一転して、国外脱出を考えるに至った。( (しかし、私はためらった。祖父や両親を悲しませるだろう、との思いがあったからだ。その思いがしばらくの間私の心を捉えた。けれどもやがて別の考えが頭にひらめいた。それは、私は両親から生まれ育てられたが、本当は私は天の父のものである。それゆえ私は天の父を信じ、その父に感謝し、そしてその父の道を進まなくてはならない、という考えである。こうして私は日本から
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